「人権文化をすすめる市民運動」推進強調月間 日野地区人権講演会

8月19日(金)、「人権文化をすすめる市民運動」推進強調月間 日野地区人権講演会が開催されました。
(参加者77名 内主催者6名)

1 開会 市民憲章朗唱
     あいさつ(市長)

2 日野地区中学生による人権作文の朗読
  『コロナのこわさ』 西脇中学校1年 岡崎 奏人さん
  『僕のヒザ』    西脇中学校3年 中根 啓稀さん 

3 講演
  演題『ヤングケアラー当事者の人生から考える支援の方法』
  講師 宮崎 成悟 さん(一般社団法人ヤングケアラー協会 代表理事)

(1)自己紹介
〈経歴〉1989年生まれ。16歳のころから難病で寝たきりの母のケアを担い、大学卒業後、国内大手医療機器メーカーに入社。3年で介護離職。その後、転職を経て、2019年にYancle株式会社を設立し、自身の経験をもとにヤングケアラーのオンラインコミュニティ、就職・転職支援事業を行う。同事業の形態を変え、一般社団法人ヤングケアラー協会を設立。厚生労働省・文部科学省のヤングケアラープロジェクトにオブザーバー参加。令和3年子ども・子育て支援推進調査研究事業「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」検討委員会委員。

著書『ヤングケアラーわたしの語り』『Nursing Todayヤングケアラーを支える』

(2)ヤングケアラーの概要
日本でヤングケアラーの法令上の定義はまだない。
日本の定義(日本ケアラー連盟発表)…家族のケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートを行っている18歳未満の子ども。
※何歳までを支援の対象とするか、ケアの範囲をどこまでとするか、このあたりが議論の最中である。

ヤングケアラーの人数(厚生労働省の調査結果)
小学生 15人に1人 中学生 17人に1人 高校生 24人に1人 大学生 16人に1人
人口構造、家族形態の変化に加え、雇用・労働状況、社会福祉制度の仕組みなどが背景にある。大人だけでケアを担うことが限界に。

(3)私の経験について

(4)当事者の人生
共通する悩み
①相談相手がいないことによる孤立
②身体的・精神的拘束による生活の障壁
③終わりの見えない将来への不安

(5)支援方法について
①点ではなく線で見る。すべてのヤングケアラーに一律の有効な支援方法はない。置かれた状況の多様さを理解し、ライフステージの変化に応じて対応する。
②子どもとの信頼関係を築く。なんて声をかければよいのかは人それぞれ。大事なのは信頼できる大人から声がかかること。
③定常的な接点をもつこと。子どもにとって信頼できる大人はどんな存在か。それは定期的に会って、話してくれる人。
④解決方法を決めつけない。本人とその家族の声に耳を傾ける。
⑤支援の糸をたくさんつくる。SW、担任、近所の人、友だち、支援団体等。

(6)ヤングケアラー協会について

4 閉会 謝辞(日野地区人権教育協議会 会長)

<参加者の感想 一部抜粋>
・社会全体の中で、ヤングケアラーの存在を認知、理解を深める機会が増えていくことが大切と感じました。身近にヤングケアラーがいるということを理解し、子どもに寄り添える存在でありたいと感じました。一人でも、若者が自分の人生をあきらめることがないような支援が行き届く社会になればと思います。
・ヤングケアラーについて、講演を聞く機会ははじめてであった。最後の方で、介助が必要になった人を施設に入れることで、お互いの幸せはつかめないという話があり、ハッと思った。人生の一時期をどう乗り切れるか、やはり、人と人とのつながりが大きな役割を担っていると改めて感じた。
・少し実情の問題点は見えてきましたが、公と私の役割分担などの体系化への道筋がよくわかりません。社会制度として何が必要なのか、政治・政策への要望も入れていただきたいです。